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視聴者に提供の義務はない

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Copyright © 2022 TAKEHANA TADASHI
著作日時: 2022.06.14. 23:30:00
視聴者に提供の義務はない:
 法律上の義務でなければ、強いられるいわれはない。法律上の義務だけを強いることが許される。法律上の義務でないことを強いるのは犯罪である。
 合法的な契約によって、契約の一方と他方に、それぞれ債務が発生する。
 たとえば、Haskell言語を教えるので、時給1万円を支払ってもらう、という合法的な契約。
 すると、契約の一方の側は、他方の側にHaskell言語を教えることが法律上の義務となる。
 そして、契約の他方の側は、それに対して、1時間につき1万円を支払うことが法律上の義務となる。
 従って、他方の側は、一方の側からHaskell言語の知識を教えてもらうことを要求できる。それは、他方の側にHaskell言語の知識を教えることが、合法的な契約によって一方の側の義務になったからである。
 また、一方の側は、他方の側から、Haskell言語の教授時間1時間につき1万円を支払ってもらうことを要求できる。それは、一方の側に教授時間1時間につき1万円を支払うことが、合法的な契約によって他方の側の義務になったからである。
 一方が他方にHaskell言語の知識を提供し、他方が一方に時給1万円を支払うことで、この双務契約は完結する。
 この契約によっては、他方の側は一方の側にHaskell言語の知識の提供以外を要求することは許されないし、一方の側は他方の側に時給1万円の支払い以外を要求することは許されない。
 契約が存在しない間にあっては、相互になにも要求し合えない。
 テレビ局のアナウンサーが職務で、知識、情報、をアナウンスして提供したことに対して、アナウンサーが要求できることは、契約関係にあるテレビ局からの賃金の支払いだけである。
 テレビ局は、契約関係にあるアナウンサーに賃金を支払う代わりに、アナウンサーに、知識、情報、を視聴者にアナウンスして提供することを要求できる。
 相互に、契約上の義務となったことを要求し合えて、その義務が履行されあうことで、当該双務契約は完結する。
 双務契約によって、それぞれに課せられた義務の履行を相互に要求できるのみであり、それ以外の要求をすることは許されない。
 また当然、この双務契約の義務の履行によって、それ以外の者に、何事かを要求することは許されない。それ以外の者には、この双務契約によって何ら義務は発生しないのだから。
 つまり、テレビ局のアナウンサーが職務で、知識、情報、をアナウンスして提供したことによっては、テレビ放送の視聴者には、何ら義務は発生しない。なので、そのアナウンサーは、視聴者に対して何事かを要求することは許されない。
 たとえば、視聴者の所有している、知識、情報、を、放送を視聴した見返りだとして取得することは許されない。
 アナウンサーと視聴者の間には、テレビ番組の視聴と引き替えに所有している知識、情報を提供するという契約は結ばれていないのだから。
 テレビ番組は、テレビ局側が無償で視聴者に提供する、ということで成立しているものである。NHKの場合には、受信料を視聴者側は支払わなければならないようであるが。
 NHKの場合にしても、職務を遂行したアナウンサーが要求できるものは、NKKからの賃金の支払いである。視聴者から、視聴者の所有する、知識、情報、を取得することを要求することは許されない。
 視聴者の側は、NHKの側に対して、受信料を支払いさえすれば、番組は、視聴し放題である。そういう双務契約であるのだから、NHKとの間にあっては。
 視聴者の側は、民放の側との間にあっては、無料で視聴し放題である。民放との間では、合法的な片務契約である。
 もちろん、視聴者の側は、番組で取得した表現に対して、著作権や著作周辺権を遵守する義務がある。
 そして、視聴者の側は、著作権や著作周辺権に抵触しない範囲で、取得した、知識、情報、を存分に活用してゆく権利がある。
 いずれにしても、職務を遂行したアナウンサーには、視聴者の所有する、知識、情報、にアクセスする権利はない。アナウンサーの側は、知識、情報、を提供したのだから、視聴者の側もそれに見合うだけの、知識、情報、を提供しろ、というのは、不当な理屈であり、犯罪である。義務となっていないことの履行を要求するのは、不当であり犯罪であるのだから。
 どれだけ、放送番組から知識、情報、を視聴者が取得しても、視聴者には、一切、視聴者の所有する知識、情報、を開示したりアクセスされたり使用されたりする義務は課されない。
 そのような義務の課される双務契約による行為ではないのだから、放送番組の視聴は。
 従って、どれだけの大量に放送番組を視聴しても、視聴者の所有している知識、情報は、守られ続けなければならない。視聴者の所有している知識、情報、が、他者にアクセスされたり使用されたりすることは阻まれ続けなければならない。